「劇場版さくら」シナリオ(#1/6)

 このページのトップに直接リンクされてるところは無いはずなのに、これを読んでるって事はあなたはかなり好奇心旺盛な方ですね?(^_^;)
いちおう劇場版を記憶からおこしたシナリオです。AR台本などを元にしたわけではなくあくまで劇場にかかったものが基本となっています。あくまで映画を見ている人がその場面を思い出す補助的な目的でおこしたものですので、万が一映画を見ていない方がここを覗いたとしてもこれを全編読んで映画を見た気にはならないでいただきたいものです。(アニメはあくまでアニメとしてLD/DVD/VCで見ることが可能ですし。)
 このシナリオは台本形式にはなっていませんし、また小説でもありません。AR用でもありませんのでセリフが誰のものかも前後関係で判断すればよいと特に書いていません。あくまで映画の場面を表す補助用として好きな形式におこさせてもらいました。この形式や記述の未熟さについては一切クレーム却下です☆(^_^;)
なお場面No.を振っていますが、これもまた実際のシーンNo.やカットNo.とはいっさい無関係です。


場面No.場面
1 緊迫したBGMをバックに、フライの魔法で飛ぶさくら。
それを狙う弓矢の使い手。どうやら学校を舞台にカードの魔法と戦っている最中のようだ。
「来よるで!さくら!」
「エッ?!」
ケロちゃんの声に振り返るさくら。頭上からは雨あられと矢が降り注いでくる。
「ホエーッ!」
さくらは空を飛びながら矢から逃げ回る。
「マズイ!」
その姿を見て思わずケロが声をあげる。さくらに一本の矢が迫ってきている。
しかしそこに頼もしい呪文が聞こえた。
「雷帝招来!」
さくらの頭上の矢に雷が落ち、すんでのところでかわす事ができた。助け船を出したのはもちろん小狼だ。
「ありがとう!リーくん。」
「よそ見をするな!」
弓矢使いは、つがえた矢をさくらに照準を合わせた。
「今や!」
「うん!」
さくらはケロちゃんのかけ声にうなづくと、1枚のカードを取り出す。
「風よ、いましめの鎖となれ!ウィンディー!!」
ウィンディーが弓矢の使い手に襲いかかる。風の強さにひるむ弓矢使い。
さくらは体勢を整えるともう一枚カードを取り出した。
「ジャンプ!」
さくらは弓矢使いの後ろに回り込んだ。呪文と共に足下に魔法陣が広がる。
「汝のあるべき姿にもどれ!クロウカード!!」
呪文によって弓矢使いはカードに吸い込まれ、アローのカードとなった。
「ん〜ん、もうちょっとで小狼がカード取るところだったのにぃ!」
苺鈴が不満をぶちまける。
「可愛いですわ、さくらちゃん☆」
知世はしっかりさくらの勇姿をビデオに収めていた。それをあきれたように見ている小狼。
「よっしゃあ、ようやったで!」
ケロちゃんがここぞとばかりに誉め上げる。
「さすがはワイがみこんだだけはある。な!カードキャプターさくら☆」
「ン☆」
さくらはちょっと恥ずかしそうにカードを口元にもっていくのだった。
2
メインタイトル「劇場版カードキャプターさくら」

3 雨の木之本家。
さくらもケロもお休み中…。
机の上には先ほど手に入れたアローのカードがあった。ちゃんとSAKURAの名前が書かれている。
すると、その横にあるクロウの魔法書がボオッと光り出す。
そしてさくらは夢の中へ・・・。
4 水のしたたる音がする。さくらが目を開けるとそこは壊れた建物の中のような広い空間。下にはたくさんの水が満ちている。
上からまばゆい光が射し込むその部屋の真ん中にさくらは立っていた。
「ここ、どこだろう?…水?」
さくらはまだボーッとしている。なぜか水の上に立っているのに沈まない。
すると水の中からリボン状のものがスルスルと伸びてきてさくらの体に巻き付いた。
さくらはボーッとしたまま巻かれるままになっている。
いきなりさくらの体はリボンに引かれるように水の中に引きずり込まれた。
「あれ?…苦しくないよ。」
水の中で体に巻かれていたリボンは自然にほどけ、それを掴もうとするさくらをすり抜けるようにどこかへと消えてしまった。
すると水の中で声が聞こえた。大人の男らしい優しい声だ。
「水は、流れゆくものですよ…。」
さくらは声のするまばゆい上を見上げている。
「水は、流れゆくものですよ………。」
・・・・・・
5 「ん…。」
さくらは窓から射す光で目をさました。いつもの自分の部屋だ。ケロちゃんはまだぐっすり眠っている。
それを見てさくらは少し安心したかのような表情を浮かべるのだった。
6 舞台は移って友枝小学校。
今日は12/24。さくらの教室では冬休みを目前に通知表が配られている真っ最中だった。
「西村…小林…よく頑張ったな。…近藤。次はもうちょっと頑張ろうな。…清水…瀬川…。」
さくらも通知表を手に席に戻ってくる。
通知表をそおっと見てから安心した表情でホーッと息をつくさくら。
それを見て隣の知世が「いかがでした?」と尋ねる。
「大丈夫だった☆算数、落ちてるかなって思ったけど。」
「よかったですわね☆」
それを聞いてことのほか嬉しそうな笑顔をうかべる知世。
「大道寺」
先生から知世にも声がかかる。
「ハイッ☆」
可愛く応えると通知表を取りに行く知世。
7 さくらの後ろでは小狼が複雑な表情をしている。
それに気づいたさくらが声をかける。
「リーくんも心配なの?」
気づかれてちょっとイヤな顔をする小狼。
「べ、別に…。」
「だいじょーぶ、あたしが付いてるから☆」
小狼の隣にいる苺鈴が能天気な言葉をつなぐ。
それを聞いて、さらにイヤな顔をする小狼。
「あ、わかった!おばさまに見せるのがいやなんでしょう☆」
「ち、ちがう!」
そんな二人のやりとりをにこやかに見ているさくら。
そうこうしているうちに知世が席にもどってきた。
「あ、知世ちゃん。どうだった?」
「一学期と同じでしたわ。」
なにげもないといった風情で席に着く知世。
「それって、すごくいいって事だよねえ?」
驚きの声をあげるさくらにニッコリと微笑む事で応える知世。
8 「李・小狼。李・苺鈴。」
先生から二人にお呼びがかかる。
「はーい!」と元気よく返事をする苺鈴に対して、不気味な音楽とともに虚ろな表情を見せる小狼。
さくらと知世の間を抜けるように先生の元に向かうふたりだったが、その足取りには雲泥の差がある。
「苺鈴ちゃん、自信満々ですわね。」
「うん。」
知世のつぶやきにさくらが応える。
でもさくらはそれよりも冬休みの方が気になるようだ。
「ねぇ、知世ちゃんは冬休みどっか行くの?」
するとそのとき苺鈴の声が教室中に響き渡った。
「なあんでぇ!!!」
思わず声の方を振り向くさくらと知世。
「どうして満点じゃないのお?」
苺鈴は先生に文句を言っていた。先生も困ったように答えている。
「うーん、香港から来たばかりだから…国語がちょっとなぁ…。」
「ム〜〜〜。」
頬をふくらませて不満そうな苺鈴。
そんな苺鈴のことも気が付かないかのように無表情に席に戻る小狼。
そして意を決したように通知表を開く小狼。
隅から隅までなめるように見てから、ホッと胸をなでおろす。
「ふうっ、よかった。これなら見せても…。」
そこでさくらが自分を見ている事に気づいてムッとして通知表を隠す。
そんな小狼を見て「ア、アハハ、はぁ…」と照れたような複雑な表情で作り笑顔を見せるさくら。
9 そして学校の帰り道。
「でも、さっすが知世ちゃんだよね。」
「そんなことありませんわ。」
さくらと知世が歓談しながらファンシーショップTwin Bellsに入ってゆく。
さくらはあれこれと悩みながらノートを選んでいる。そんなさくらを見て嬉しそうな知世。
やっと決まったらしく買い物をすませるさくら。
「ありがとうございます☆…それ、冬休みの宿題用?」
「はい!」
「そうだ!?」
ガサゴソと箱を取り出す店のお姉さん。
「ジャーン☆ ひいてみて。」
「ほえ?」
キョトンとしているさくら達。
「商店街の歳末企画なの。特賞は香港旅行よ。」
「わあ〜☆」
「さくらちゃん頑張ってください!」
「うん☆」
元気に応えてくじを引くさくら。しかし箱の中のボールになかなか手が届かない。
「友枝小学校の子達もたくさんひいたんだけど、みーんな参加賞だったのよねぇ…。」
店のお姉さんがそんなことを言っている時、ボールに手が届かないでいるさくらに不思議な力が働いた。さくらの手の中に自然にボールが飛び込んできたのだ。
怪訝な表情でボールを取り出すさくら。
「何色だった?」
ボールを見つめるさくら。そしてニッコリとお姉さんにボールを向ける。
「わたしも、参加賞ですね。」
ボールを見て「えーと…」と壁に書かれた賞品一覧を調べるお姉さん。
「残念賞 ポケットティッシュ」
「5等 友枝商店街商品券」
「4等 北海道海の幸」
「3等 34型ハイビジョンテレビ」
「2等 豪華客船クルージング」
「1等 リゾートホテル宿泊券」
そこでお姉さんの表情が止まる。「と…」
知世の表情も止まっている。「と…?」
そしてさくらも口を開けたまま。「と…?」
壁には「特賞 香港旅行4泊5日」の文字が見える。
10 さくらの家。ケロちゃんの声が響き渡る。
「とぉくしょーっ?!」
「ジャーン!」とさくらがケロちゃんに特賞の封筒を見せびらかす。
「こりゃ、すごいやないか〜!へえー、海外旅行?!冬休みやしちょうどええやないか。」
「そうなの!ンフ☆わたし外国初めてだよう!」
「ほう!香港かぁ!なっつかしいなあ…。」
ケロちゃんはちゃっかり中のクーポンを取り出して眺めている。そのクーポンには「香港10月〜3月」と書かれている。
「ケロちゃん、香港行ったことあるの?」
服を着替えながら
「ちょっとの間やけど、クロウと一緒にな。」
「ふーん、じゃあこのクロウカード達も香港に行った事あるんだ。」
魔法書を開いてカードを眺めるさくら。
「そのカードらは魔術師クロウ・リードが作ったもんやさかいなあ。」
「へえ〜。香港、、どんなとこかなあ☆」
「まっかしとき!ワイがええとこ案内したるさかい。」
「うん!」
さくらは嬉しそうにベッドに倒れ込む。
しかしケロちゃんはハタと気が付く。「まてよ!」
「ん?どうしたの?」
「たしかこの冬休み、お父はん出張やなかったっけ?」
「そういえば…。」
ちょっと考えてからふたりでハア〜とため息をつく。
11 ダイニングにてお父さん登場。
「行っておいで。」
「いいの?」
一家そろって食事の真っ最中である。
「ん!せっかく特賞が当たったんだし、僕は行けないけど桃矢くんが一緒なら大丈夫でしょう。」
「あ…でもお兄ちゃん…バイト…。」
無表情に飯をほおばっていた桃矢がやおら左手をあげて5本指を広げる。
「当番5回。」
ちょっとムッとするさくら。でもすぐにその意味に気がついた。
「でも…いいんだ?」
ニッコリとなるさくら。ん、とうなづく桃矢。
「じゃあ、あと知世さんと…僕の代わりに月城くんはどうかな?」
さくらハッとする。
「大丈夫だと思うけど?あいつ、特に予定無いって言ってたし。」
さくらの表情がパアッと明るくなる。
「やったあ★」
12 場面は変わって空港。おそらくは成田だと思われる。
空港ロビーを小走りにして飛行機を見に窓際まできたさくら。そしてそれに付いていきながらしっかりビデオをかまえて撮影している知世。
「わたし飛行機乗るのはじめて!……ほえ?…ビデオ、持ってきたの?」
「ええっ!さくらちゃん香港旅行の巻。こんなすばらしい撮影機会を逃すわけにはまいりませんわ☆」
ファインダーから顔をあげると知世の目はキラキラと輝いている。
「もちろん、撮影用のお洋服ももってきましたの!香港に着いたらゼヒ着てみてくださいね!」
「はう〜。」
ほほえみながらもちょっと苦い表情を見せるさくらだった。
13 「おーい。」
桃矢から声がかかる。振り向くと桃矢と雪兎がさくら達を待っている。
「搭乗時間だぞ〜。」
みんなで動く歩道に乗って飛行機に向かって行く。いちばん後ろで知世はしっかりビデオ撮影をしていた。
桃矢はさくらに顔を近づけるとこっそり耳打ちする。
「おい。飛行機はクツ脱いで乗るんだぞ。」
「え?そうなの?」
そして搭乗口。さくらはしっかりとクツを脱いで乗ろうとする。そんなさくらを眺めながらシレッと自分だけそのまま飛行機に乗る桃矢。さくらは客室乗務員に「お客様、どうかそのままで…」と言われてようやく自分が騙されたことに気が付く。
カァッと赤くなるさくら。
「お兄ちゃん!」
機内で声をあげるさくらに対して桃矢は「ヘェ☆」としたり顔。
14 ムッとしたまま席に向かうさくらだったが、バッグからケロちゃんが苦しがって顔を出してしまう。
「ぶわあ、苦しい〜。なあさくらー、まだ着かへんのかあ?」
それを聞いてほかの乗客が驚いて何事かと目を向けるため、さくらは慌ててケロちゃんをバッグに押し戻すと急いで席に押し込む。
「もうちょっと我慢して!」
「そやけど…」
「さくらちゃん…」
ちょうどそこに雪兎が声をかけてきた。さくらはケロちゃんをバッグに押し込んで背中に隠す。
「誘ってくれてありがとう。僕、海外初めてなんだ。楽しいこといっぱいあると、いいね☆」
そんな雪兎にさくらは喜びをかくしきれない笑顔で応える。
「ハイッ☆」
そして飛行機は一路、香港に向かう。
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