「劇場版さくら」シナリオ(#3/6)

 このページのトップに直接リンクされてるところは無いはずなのに、これを読んでるって事はあなたはかなり好奇心旺盛な方ですね?(^_^;)
いちおう劇場版を記憶からおこしたシナリオです。AR台本などを元にしたわけではなくあくまで劇場にかかったものが基本となっています。あくまで映画を見ている人がその場面を思い出す補助的な目的でおこしたものですので、万が一映画を見ていない方がここを覗いたとしてもこれを全編読んで映画を見た気にはならないでいただきたいものです。(アニメはあくまでアニメとしてLD/DVD/VCで見ることが可能ですし。)
 このシナリオは台本形式にはなっていませんし、また小説でもありません。AR用でもありませんのでセリフが誰のものかも前後関係で判断すればよいと特に書いていません。あくまで映画の場面を表す補助用として好きな形式におこさせてもらいました。この形式や記述の未熟さについては一切クレーム却下です☆(^_^;)
なお場面No.を振っていますが、これもまた実際のシーンNo.やカットNo.とはいっさい無関係です。


場面No.場面
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27 場面は変わって、ヴィクトリアピーク(山頂)に向かうピークトラム(ケーブルカー)。
さくら達はこのピークトラムに乗っていた。窓からの景色に胸おどらせるさくら。
そしてピークトラムは山頂の駅にたどりつく。
28 山頂からほど近いと思われる小狼の実家。
ビデオのファインダーにはチャイナ服のさくらが映る。
「中華なさくらちゃんを撮影できるなんて、超ラッキーですわあ☆」
「知世ちゃんこそ、すっごく似合ってるよ。」
「ありがとうございます☆」
そこへ四人の美女が黄色い声をあげながらさくら達がいる部屋へ飛び込んできた。
「キャ〜!いらっしゃーい〜☆」
さくら達に群がる四人。
「可愛い〜☆」「ん〜☆」
「よく似合ってるわあ☆」「ん〜☆」
「いいわねぇ。」「いいわあ☆」
「食べちゃいたいわねえ。」
ベタベタとさくらと知世をなでまくる四人。さくらと知世はキョトンとしている。
「どちらさまでしょう?」
さくらに尋ねる知世だったがさくらも「さあ?」としか答えられない。
29 「もう…なんで俺達まで着替えなきゃなんねーんだよ!」
「よく似合ってるよ桃矢。」
桃矢と雪兎も服を着替えて部屋に入ってきた。
それを見てフイッと顔をあげる美女四人。
「あっちも…いいわねえ…。」
「いいわねぇ。」
「いい…。」
四人の美女はそのままさくら達からはがれた。目はしっかり桃矢達を注視している。
「でも今朝のおかゆ、おいしかったねぇ。」
桃矢に話しかけている雪兎に美女の手がせまる。もちろん桃矢にも指がのびる。
ヘッと驚く桃矢と雪兎におかまいなく美女四人は歓声をあげて群がるのであった。
「きゃあ〜カッコいい〜☆」
キョトンしたままの桃矢と雪兎。
「だれ?」
「さあ…」
美女達は思うさま雪兎たちをベタベタ触り何かと話しかけてくる。
そんな脇を抜けて小狼が茶器を運んできてさくら達の前のテーブルに置いた。
「手伝うわ、小狼☆」
「あの人たちリーくんの…」
「お姉さま達。」
と苺鈴はお茶の支度をしながら答える。
「四人とも?」
「ああ。」
小狼はそれだけ答えると疲れたようにソファーに腰をおろした。
「ほえ〜。」
さくらは感心したようにつぶやく。小狼の姉達はやっぱり桃矢や雪兎をオモチャにしている。
「明るいお姉さま方ですわね。」
「なーんや、妖しい姉ちゃんらやなあ。」
バッグからこっそり顔をだしたケロちゃんがポツリと一言。
「ケロちゃん!…ごめんね、リーくん。」
すぐさまさくらがケロちゃんを叱るが、疲れた表情の小狼は返事すらしない。
30 そんな雰囲気が一瞬にして変化した。部屋の扉が開いて女性がひとり入ってきたのだ。
小狼はいきなりバッと立ち上がって直立不動状態になった。
入ってきた女性は凛として部屋を横切って行く。その表情は固いが美しい姿にさくらは憧れの目を向ける。
「きれいな人…。」
女性が桃矢達の前に立つと桃矢と雪兎はおじぎをして迎えた。
「はじめまして。」
「ども…。」
女性は桃矢達に深くおじぎを返した。周りでそれを見ていた小狼の姉から「お母様〜☆」とため息のように言葉がもれる。それを耳にしたさくらは驚く。
「お母様?」
「お若く見えますわね。」
「うん…。」
誉める知世にさくらは軽い返事を返すだけだったが、ケロちゃんの印象はこうだったらしい。
「化けモンの親玉みたいやなあ…。」
「ケロちゃん!」
さくらが小声で叱ると、あわててバッグの中に戻りジッパーを閉じるケロちゃん。
そんなケロちゃんの感想に変な表情をしつつも何も言わない小狼。
「否定…なさいませんわねぇ。」
「う、うん…。」
31 母親は次にさくらの前にやってきた。会釈する母親に対して自然に会釈を返す知世。
さくらはそれに続くかのように深くおじぎした。
「は、はじめまして!木之本さくらです。今日はステキなお洋服を貸して…。」
そんなセリフも聞こえないかのようにさくらの頬にふれる母親。
さくらを真っ直ぐに見据える母親は初めて言葉を交わす。
「強い力を感じます。クロウカードを持っていますね。」
周りをうかがいそっとうなづくさくら。
「強い力は困難を引き寄せるキッカケとなることもあります。特にこの香港では。」
さくらを見つめ続ける母親。
「(今日は)泊まっていきなさい。」
「ええっ?!」
驚く小狼。しっかりさくらを撮影をしている知世。
「やったー☆」と四人揃って喜ぶ小狼の姉達。そしておもちゃにされっぱなしの桃矢と雪兎…。
最後に、ちょっと困惑した表情のままの小狼に対して母親は静かに一言だけ。
「小狼。…通知表を出しなさい。」
小狼は崩れた表情で肩を落とすだけだった。
32 小狼の実家、夜の客用寝室。
「ん〜☆」
ようやく自由の身になったケロちゃんが思いきり伸びをしている。
「はあー、なんか今日は肩凝る一日やったなあ。」
その頃さくらはベッドに腰かけ、知世は昼間録画したビデオのチェックをしていた。ふたりともすでに寝る準備を済ませて借り物のパジャマに身を包んでいる。
知世がさくらに話しかける。
「きれいなお母様でしたわねえ。」
「うん☆ステキだったねぇ。それに…不思議な感じのする人だった。」
「そうですわね。」
そこにケロちゃんが加わる。
「あの母ちゃんもすごい力の持ち主やで。さっすがはクロウ・リードの血縁や。クロウのお母はんの実家は中国でも有名な導師の家系やったさかいな。」
「クロウさんはとっても有名な魔術師さんでしたわよね。」
「おそらく当時で最強のな。でも、ま、根性まがっとったし、敵も多かったけど。」
「まあ、そうでしたの?」
さくらはふたりの会話をにこやかに聞いていたが、フと真面目な表情になり窓の外に目をやる。
33 そして家の外形、窓から見えていた明かりが消える。
さくらとケロちゃんと知世はひとつのベッドに入って仲良く川の字に並んでいる。
「でも、こんなことならお洋服を持参するべきでしたわ。ホテルに戻ったらゼヒ着替えてくださいね。」
「う、うん…。」
「そして、香港の街を舞うさくらちゃんを☆」
「ワイも撮ってえぇぇぇぇ。」
ケロちゃんが寝ぼけたままで催促する。それを見て笑うさくらと知世。
「お休み、知世ちゃん。」
「おやすみなさい☆」
34 そして就寝。知世とケロちゃんはグッスリと寝入っているが、さくらだけはまだ眠れないでいる。
小狼の母親の言葉が気になっているのだ。
「強い力は困難を引き寄せるキッカケとなることもあります。特にこの香港では…。」
さくらは目をとじ眠りに入る。それに呼応するかのようにさくらのバッグの中にある魔法書はボオッと光を帯びる。
またもさくらは夢の中…。
35 天井から光が射し込む部屋の中にさくらは立っていた。
今度は最初からリボンがさくらに伸びてくる。
「また…この夢だ…。」
前にもいた夢の女からリボンは伸びてきていた。
「あなた…誰?…誰なの?」
さくらは女が伸ばしてきているリボンを腕を伸ばしてつかんだ。
すると女が初めて口を開いた。いや、リボンを通してやっと意志が通じるようになったという事だろうか。
「ずっと…待っていた…。」
リボンはさくらの腕に巻きつき外れない。さくらはなんとかほどこうとするが強く巻きつき容易にははずれそうにない。
「待っていた…ずっと…長い間…おまえだけを待っていた。」
腕にまきついたリボンによりさくらは女の眼前に引っ張り上げられた。
「長い間…おまえだけを…。」
ようやく女の顔が確認できる。まだ影が射してハッキリとまではしないがかなり美しいのは確かだ。
女は両手をひろげてさくらの元にせまってきた。さくらは恐怖で叫び声をあげる。
「キャーッ!!」
そこで目がさめた。
36 「どないしたんや!さくら!さくらぁ!!」
飛び起きたさくらをケロちゃんと知世が覗きこんでいる。
「大丈夫ですか?」
知世も心配そうだ。
「ゆめ…!?」
さくらがパジャマの袖をめくると腕にはリボンの巻きついた痕がくっきりと残っていた。
「こりゃただの夢とちゃうでぇ。」
ケロちゃんが痕を眺めていると不意にノックの音が響いた。
「は、はい!」
ケロちゃんはあわててベッドの中に隠れる。
扉を開けてカーテン越しに顔を覗かせたのは小狼の母親だった!
37 小狼の実家、広い庭。
さくらと小狼の母親は庭の先にある展望台のようなところに立っていた。
母親は飾りのついた扇を取り出すと呪文を唱えはじめる。
「玉帝有勅、神硯四方、金木水火土、雷風、雷電新勅、玉帝有勅、神硯四方、雷風、雷電新勅、軽磨霹靂、電光転、急々如律令!」
光と共にさくらの足下に魔法陣が描かれる。小狼がいつも使っている風水盤のような魔法陣だ。
「あなたは呼ばれてこの香港に来たようですね。」
「誰にですか?」
さくらの目の前に、空中に浮かぶ赤い玉が現れる。
「夢の中の女に。」
さくらは思い当たる。
「気をつけなさい。今までとは比べ物にならないほどの危機が迫っています。」
「あたし、どうしたら…。」
「あなたの進むべき道を知っているのはあなただけです。力の強い者は魔を呼びこみやすい。特にあなたはクロウ・リードが作ったクロウカードを持つ者。呼ぶ魔もそれだけ大きくなります。」
さくらは胸に手をあて封印の鍵を確かめるようにした。
「けれど、それゆえの導きもある。あなたをいざなう魔も夢の中。そして助けるのもまた夢の中。」
光は消えた。複雑な思いにさくらは下を向いている。
母親はそんなさくらに近づくと頬に手をあてて顔をおこしてやり笑顔でこう言った。
「大丈夫、あなたならきっと答えが見つかります。」
38 朝、小狼の実家の広大な玄関前。
「やだあ、もう行っちゃうのぉ?」
「寂しくなっちゃうじゃない!」
四人の小狼の姉達はまた桃矢や雪兎に群がって別れを惜しんでいる。
「昨日、ほんとに泊まったんだ?」とは苺鈴。
「ええ。」
知世の答えにムウ〜となる苺鈴。
「あたしも泊まればよかった。」
小狼は何事か考えている風情で目をとじたまま。
さくらが小狼の母親と連れだって外に姿を現した。
「あの…いろいろありがとうございました☆」
母親はさくらに顔を近づけると、そのまま頬に口づけした。
思わず頬を赤らめるさくら。
すかさずビデオ撮りする知世。ビックリして声も出ない小狼…。
(苺鈴は見ていなかったようだ。見ていたら反応が楽しみだったが…。)
「おーい、そろそろ行くぞ〜。」
桃矢の言葉に四人の姉達から「えー?」と声がかかる。
「えーじゃないんだよ。」とサラリとかわす桃矢。
「あ、はい。」
さくらが返事をする。
小狼の母親はさくらに対して最後にひとこと。
「水に気をつけなさい。」
「水…?」
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